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アナログシンセ、モジュラーシンセの入門にも最適!「Doepfer Dark Energy III」

今回ご紹介するのはベストセラーのセミモジュラー・シンセサイザー、Dark Energy シリーズの最新バージョン、Dark Energy IIIです!

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大人気のベストセラー Doepfer Dark Energy III

かつては Roland TB-303 のクローン音源だった!?Dark Energy の歴史

1990年代に大ヒットを記録した MS-404

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これが伝説的な Roland TB-303クローン・アナログシンセ、Doepfer MS-404

Dark Energy シリーズの歴史を語るとなると1990年代まで時代は遡ります。当時のテクノブームに乗って、Doepfer が Roland TB-303 のクローン音源と銘打ったラックマウント型のアナログシンセ「MS-404」を1995年に発売しました。ヴィンテージ・アナログシンセブームの中、アナログシンセで MIDI コントロールが可能でコンパクトな1Uのラックマウント・サイズ、しかも10万円を大きく下回るほど廉価だった MS-404 は大ヒット!アナログシンセという当時もマニアックだったジャンルの機種としては異例の大ヒットを記録しました。
1Uのコントロール・パネルに VCO、VCF、VCA、Envelope というシンセの基本的なセクションが整然と並んでおり、直感的に操作できるのが特徴です。
TB-303 クローンと銘打っておきながら、TB-303 には無い可聴域まで高速発振する LFO を搭載しており、MS-404 ならではの金属的なサウンドを作れるのが魅力でした。

外観も設計も大きく生まれ変わった初代 Dark Energy

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こちらが初代 Dark Energy です。外観は III とほとんど同じです。

外観が大きく生まれ変わり、この MS-404 の後継機種として発売されたのが初代の Dark Energy です。
時代に合わせてコンパクトなテーブルトップ筐体になり、VCO、VCF などの入出力が搭載され、パッチケーブルで Dark Energy内やCV/Gate対応機種やモジュラーシンセとの接続が可能なセミモジュラー・シンセになりました。
色は303ライクなシルバーから Dark という名に相応しい漆黒に、ヴィンテージシンセのようなサイドウッドが楽器らしいアクセントを加えています。
これもベストセラーの MS-404 の後継機種という触れ込みと、より使いやすく、しかもセミモジュラーになった事で大ヒットを記録しました。

初代 Dark Energy と外観はほとんど同じでもサウンドが全く違う Dark Energy II

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こちらが2代目の Dark Energy II。もはや間違い探しゲームです…

こちらが Dark Energy II です。外観はもはや間違い探しゲームです。初代 Dark Energy で使用されていた CEM3394 というチップが生産終了となり、それに伴い初代 Dark Energy を廃番にせざるを得なくなってしまったため、バージョン2が新たに設計されました。VCO が三角波コアからノコギリ波コアに、フィルターが 24dB のローパス・フィルターから 12dB のマルチモード・フィルターになるなど、外観はほとんど同じでもサウンドを生み出すVCOとVCFという重要なセクションが全くの別物になっています。
なので発売時期のために「後継機種」というよりは「姉妹機種」と位置付けたほうが適切かもしれません。
また Dark Energy II はオシレーターのウォームアップが必要で、正確なピッチで演奏するなら電源を入れてから30分ほど待たなければいけないという仕様です。

出てくるサウンドはどれも素晴らしく、図太いシンセリードやシンセベースから、高速 LFO を生かした破壊的なノイズドローンまで幅広い音作りができるのがシリーズ通しての大きな特徴です。

そして Dark Energy III へ。長年に渡るベストセラー Dark シリーズの最新バージョン!

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そして時代は Dark Energy III へ…

満を待して発売となる Dark Energy III、ご覧の通りまた外観はまたもや間違い探しゲームですが、Dark Energy II から数々の仕様変更があります。

  • VCO がノコギリ波コアから三角波コアに変更
  • ウォームアップ時間が不要になり、電源を入れてすぐに安定したピッチで演奏可能
  • VCO のチューニング精度が向上し、8オクターブに渡る 1V/Oct トラッキングを実現
  • VCA のコントロールががリニア・スケールに変更
  • コントロールパネルの LFO1 出力と エンベロープ出力の代わりに LFO1 と LFO2 のリセット入力を搭載

まず VCO が Dark Energy II のノコギリ波コアから Dark Energy I と同じ三角波コアに変更されています。メーカー曰く電源を入れてからのウォームアップが不要でトラッキング精度が向上したとのことですが、やはりアナログシンセなので使用する環境によってはわずかにずれる事もある様です。

VCA のがリニア・スケールになった事でエンベロープの乗り方が違います。この辺は好みですが、より気持ち良い乗り方になったかな?という印象です。

エンベロープ と LFO1 の出力が LFO1 と LFO2 のリセット入力になりました。オシレーター・シンクの様に利用したり、LFO とシンクするウォブル・ベースの様なサウンドを作る際に大活躍します。

音の印象ですが、Dark Energy II よりまとまりがよく、楽器的なサウンドがより作りやすくなったと思いました。
この辺は人により感じ方は違うと思うので、ぜひ店頭でお確かめ下さい。

Dark Energy III はこんなシンセサイザー

シンプルな構成ながら奥深い音作りが楽しめるセミモジュラー・アナログ・モノシンセ

Dark Energy III は 1VCO、1VCF、1VCA、2LFO、1Envelope というシンセサイザーとしてはかなりシンプルな構成のセミモジュラー・アナログ・モノシンセです。
セミモジュラー・シンセサイザーというのは、VCO や VCF などの各セクションがあらかじめ内部で接続されており、パッチケーブルを使用してパッチングをしなくても音が出せる様になっているシンセサイザーの事です。
必要に応じてパッチケーブルでパッチポイントを接続したり、外部のモジュラーシンセなどを接続して音作りが楽しめます。

非常に分かりやすい構成をしていてすぐに音を出すことができるので、アナログシンセやモジュラーシンセを初めて触る方に最適!
デジタル制御のシンセやソフトシンセの様にプリセットを保存することができませんが、逆に「一期一会の音作りが楽しめる」というメリットとして楽しめます。
同じ音を再現する事はできますが、ツマミはアナログなので厳密には全く同じ位置に戻す事はできません。
「電気で音を生成する生楽器」ともいえる曖昧さ、ゆらぎが Dark Energy III の様なアナログシンセの大きな魅力と言えます。

1系統ながら太く力強い音のVCO

VCO はノコギリ波、三角波、矩形波を出力することができ、ノコギリ波と矩形波、三角波と矩形波をミックスして出力する事ができます。
また矩形波はパルス幅のマニュアル・コントロールと、LFOとADSRによるコントロールが可能です。
多くのバリエーションを生み出すことができ、出音は太く力強いサウンドです。

連続可変するマルチモード・フィルター

フィルターはローパス〜ノッチ〜ハイパス〜バンドパスとノブで連続可変する事が可能。
マルチモード・フィルターというとフィルタータイプをスイッチで切り替える機種が多いですが、Dark Energy III はローパスとノッチの間といったユニークな特性に設定する事ができます。
これにより微妙なニュアンスのサウンドを作ることができ、作れるサウンドの幅が格段に広いです。

可聴域まで高速発振する2つの LFO を利用した音作り

Dark Energy シリーズの一番の特徴とも言えるのが LFO です。
LFO = Low Frequency Oscillator、低い周波数で動作するオシレーターの事です。しかし Dark Energy シリーズの LFO は低い周波数から音として耳に聞こえる範囲まで周波数を上げることができます。
Dark Energy III でももちろんこの LFO は健在で、VCO のピッチと PWM、VCF のフリーケンシー、VCA をモジュレーションする事ができ、ノイジーなサウンドや金属的なサウンドを作り出す事が可能です。

パッチポイントを利用した音作り

合計13個のパッチポイントをパッチケーブルで接続して、自分の好きな様に接続を変更する事ができます。

Dark Energy III はリアパネルに MIDI メッセージを CV とゲートに変換した出力が5個、コントロール・パネルに各パラメーターの入力が8個、合計13個のパッチポイントがあります。
パッチの例をいくつか挙げると

  • Gate Out – Reset LFO1 : 鍵盤を弾いたタイミングで LFO1 の動作をリセット
  • CV1 – VCF F : 鍵盤の音階でフィルターの開き具合が変化
  • CV3 – PWM : 鍵盤を弾く強さで VCO のパルス幅が変化

この様な事ができます。
外部のモジュラーシンセや CV/Gate 対応機器を接続すると音作りの幅がどんどん広がっていき楽しいです。

また External Audio 入力は外部のサウンドを入力する事ができるので、別のシンセやオシレーターを入力する他に、iPhone やコンピューターなどからも音を入力して Dark Energy III で加工する事ができます。

USB/MIDI to CV/Gate コンバーターを内蔵、モジュラーシンセやヴィンテージシンセのコントロールにも使える!

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Dark Energy III の背面。USB と MIDI の入力、Gate 出力 x1、CV 出力 x4 が用意されています。

USB と MIDI で入力された MIDI 情報は、Dark Energy III の音源を鳴らすと同時に、CV/Gate 信号に変換され本体背面の CV/Gate ジャックから出力されます。ということはシンプルな USB/MIDI to CV/Gate コンバーターとしても使用できるので、モジュラーシンセやヴィンテージシンセのコントロールにも使えます。
特にモードを切り替える必要はなく Dark Energy III を使用していれば常にこれらを出力しているので、Dark Energy III のサウンドに他のシンセのサウンドを重ねた音作りもできます。Dark Energy III をコアとして、足りない機能や追加したい機能をモジュラーシンセで拡張していくと楽しいです!

ちなみにゲート出力は +5V、ピッチCV出力は 1V/Oct という仕様です。ヴィンテージシンセを接続する場合は、接続先の機種がこの仕様に対応しているかご確認ください。

マニアな方向けの機能拡張

シンセサイザーと電子工作に精通している方向けに、Dark Energy III はいくつかの隠し機能を搭載しています。ブロック・ダイアグラムを見るとインバーターが内蔵されていたり、多数の内部ジャンパー、コネクターが用意されているのが分かります。知識がある方はこれらを活用して、機能を拡張する事ができます。本体を開けると保証とサポートの対象外になってしまうので、手を入れる際はくれぐれも自己責任でお願いします。

当店と輸入代理店の福産起業はこれらの仕様と改造についてのお問い合わせにお答えする事はできません。ご了承ください。

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Dark Energy III のブロック・ダイアグラムです。

Doepfer Dark Energy III はこんな方にオススメ!

  • アナログシンセやモジュラーシンセに興味があり、シンセサイザーの仕組みを1から学んでみたい方
  • 手頃サイズと価格のアナログシンセが欲しい方
  • 楽器的なサウンドからノイズドローンまで、幅広いアナログサウンドを演奏した方

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Doepfer Dark Energy III | シンセサイザー アナログシンセモジュール | Five G music technology

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