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注目の国産モジュラーケースをリリースした浜松の新しいメーカー dotRed Audio Designs 後藤和宏 さんインタビュー

2016年6月中旬より、いよいよ発売となった、国産ユーロラック・モジュラーシンセサイザー用ケース、dotRed Audio Designs 「WORKFRAME 84」。
先日東京のRed Bullにて開催されたモジュラーシンセサイザーの祭典、Tokyo Festival of Modular へも出展し熱い注目を集めていました。

WORKFRAME 84 が初の製品となる dotRed Audio Designs ですが、新しいメーカーなのでまだどんなメーカーなのか、ご存知ではない方も多いかもしれません。オフィシャルサイトを覗くと、どうやら音楽の街 静岡県の浜松に拠点を置いている少数精鋭の会社の様ですが…そこで色々と気になる事を Five G スタッフが dotRed Audio Designs 代表取締役社長である後藤和宏さんにメールでインタビュー!快く応じていただきました。

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代表取締役社長 後藤和宏さん (右), 営業・Web制作担当 JC Duvivierさん (左) dotRed Audio Designs オフィシャルFacebookより

Q1.dotRed Audio Designs 設立の経緯を教えて下さい。

後藤和宏さん(以下 後藤) : 私は某大手楽器メーカーで30年ほど、シンセサイザーやオーディオI/Fといった製品の開発に携わってきました。商品企画に沿って、コストやスケジュールの制約の中で、いかにして良いものを作るかというテーマを持ちながら仕事をしてきた訳ですが、それを繰り返しているだけで良いのか?と自分自身に疑問を抱くようになったのです。
疑問を抱いたということは、自分自身、納得できてないということなんです。
では、どうすれば、自分自身が納得した仕事ができるのか?
そう思ったら、サラリーマンを辞めて、自分のブランドの製品を開発するしかないんですよね。でも、それだけでは会社を設立することはできませんでした。
実は、数年前から、プロ・ミュージシャンの方やサウンド・エンジニアの方とのご縁で、個人的に特注機材や既存製品の改造を請け負っていました。そんなことができたのは、私の仕事を認めていただいた方々がいたからなのです。
それが会社を設立しようとする気持ちへの後押しとなり、残りの人生、自分が納得できる仕事をするために、今年1月にdotRed Audio Designsを設立しました。
dotRedというのは、日の丸を連想させるワードです。日本にも、こんなメーカーがあるんだと認めていただきたいという思いで、社名を決めました。

Q2.なぜユーロラック・モジュラーシンセのケースを開発する事になったのでしょうか?

後藤 : 会社を設立したら、先ず、プロオーディオ機器の開発をしようと考えていました。
ところが、自分の周りにいるモジュラーシンセをやっている人から、「ケースが入手困難なので、商品化してもらえないか?」という声が有り、それならばと、モジュラーシンセのケースを開発することにしました。ケースが無ければ、モジュラーシンセを楽しみたくても始められませんからね。WORKFRAME84で、モジュラーシンセを楽しめる人が少しでも増えれば、御の字だと思っています。

Q3.dotRed Audio Designs製品の魅力や売りはどこでしょう?こだわりのポイントは?

後藤 : 「音」と「品質」です。
「音」に関して言えば、強いこだわりが有ります。
これまで培ってきた経験で、設計段階から「音」を意識して部品や回路を決めています。
今回のモジュラーシンセのケースにしても、随所に「音」への影響を考慮した部品を選定しています。その為、重量は決して軽いとは言えませんし、部品コストも企画段階よりオーバーしています。が、「音」にこだわった結果なので、仕方がありません。
また、「品質」ですが、某大手楽器メーカーの協力工場として実績のあるところで製造していますので、高いクオリティのものが提供できる体制となっています。

Q4.独自の赤色塗料”335チェリー”はモジュラーシンセや電子楽器の中でも一際目を引くクールなカラーだと感じます。電子楽器の色として「赤」を前面に押し出した狙いは?

後藤 : 「赤」という色は、主張の強い色なので、前面に押し出したという印象を受けられたのかもしれませんね。商品にはアイデンティティを持たせるというのが、弊社のポリシーなのですが、すべて「赤」にしてしまうと個性が強過ぎるので、アクセント的に使うことで適度なアイデンティティを持たせることにしました。全体のバランス感を考えながら、上品さを損なわないギリギリの線を狙って、独特な「赤」になるように、塗料メーカーと色の配合を決めたのです。
そうして決めた塗料に名前を付けなければいけなかったのですが、自分が基準にしていた「赤」の色合いが、ギブソンのES-335というギターのチェリーレッドというカラーに近かったので、”335チェリー”という名前にしました。

Q5. 初の製品である WORKFRAME 84はどんな方に使用していただきたいですか?

後藤 : モジュラーシンセのビギナーからプロまで幅広く受け入れられると良いですね。現状では、プロやマニアの方々からすると、スタッキングなどの拡張性や1Uのユーティリティスペースといった部分が欲しいかと思いますので、そのあたりを何らかの方法で補おうと考えています。オプションのRACK-EARが、ヒントなのかもしれませんね。
また、モジュラーシンセのケースという固定概念に捉われない展開も考えています。
WORKFRAME84は、プラットフォームとして活用できる製品ですから、メーカー側からソリューションを提案することで、より多くの方々に使用していただけると思います。

Q6.次に発売予定の製品や今後の製品展開の予定は?お答え出来る範囲で結構ですので教えて下さい。

後藤 : さすがにケースだけ作って終わりというのは周りが許さなくなってしまったので、近い将来、ユーロラック関連の製品をいくつかリリースしようと考えています。併せて、プロオーディオ機器の開発を進め、年末から年始にかけてのトレードショーで発表できたら良いなと思っています。

お忙しい中、ありがとうございました。

dotRed Audio Designs 設立の経緯、製品作りにかける熱い情熱など、非常に興味深いお話を聞けたインタビューでした。
WORKFRAME 84の拡張オプション?プラットフォームとしての別展開?プロオーディオ機器?とても気になる話題もちらほら…
dotRed Audio Designs の今後の製品から目が離せませんね!